2012年3月20日火曜日

ドラマ『JIN‐仁‐』で、脚気を治すために玄米を素に作られたドーナツが使用されてい...

ドラマ『JIN‐仁‐』で、脚気を治すために玄米を素に作られたドーナツが使用されていましたが、実際にあれで治るのでしょうか?

仁は咲の母親に白米を食べないように指導してたので、3食ともドーナツを食べたのでしょか?



それにしても、病気前後の肌艶の違いには驚愕でした(笑)







作中のドーナツの材料は、玄米、黒糖、小麦粉、卵、豆乳です。

脚気はビタミンB1不足が原因ですから、江戸時代に入手可能なビタミンB1を多く含む食材を用いた玄米ドーナツを食べれば回復に向かうでしょう。

玄米の栄養素は白米の約4倍です。黒糖は栄養も豊富で、白砂糖よりもミネラルやビタミンが多く含まれてます。カルシウムやリン、カリウム、ナトリウム、鉄などが豊富に含まれています。また、ビタミンB1、B2、ナイアシンなども豊富です。「肌荒れにはチョコラBB」というCMもあるようにビタミンBには美肌効果もあります。

炭水化物の消化吸収に欠かせないビタミンB群ですが、戦前の日本の食事では、たんぱく質のおかずが少し、塩辛い漬物や佃煮で白米を腹いっぱい食べるのが当たり前でした。

ビタミンB不足による脚気の他、A不足による夜盲症、C不足による壊血病、D不足によるクル病など様々な病気が、蔓延していました。また、軍隊では現代のような輸送と保管貯蔵能力が無かったことと、「兵隊になれば白米を腹いっぱい食べられる」と徴用された国民に、マズイ麦飯を食べさせても不満が出るため兵士一日白米6合、肉魚類150g、野菜150gという偏った食事をさせていたため、次々脚気患者がでました。当時の麦飯は今のようなおいしく炊けるような麦ではなくボソボソしており、圧力鍋やIH炊飯器も無くお釜で炊いた玄米と共に、どちらも不味くて「白米を食べたい」と願うのは当然です。さらに麦は虫がつきやすく高温多湿の日本の夏では保管が難しかったようです。

ネット上に「ドーナツで脚気が治るわけない!」などといった書き込みを見かけますが、栄養素を豊富に含んだ食べ物ならば、どのような形であれ身体に良いのです。お菓子みたいなコーンフレークにも各種栄養素が配合されておりバランスのとれた食べ物になっています。

ドラマのドーナツなら玄米を使っていても食べやすく、さらに粉状の玄米ならば消化吸収され易くビタミン以外にもカリウム、鉄分、亜鉛といった人体に必要な栄養素を多く含んでいるので脚気治療にはもってこいだと思います。いわば野菜嫌いの子どもにみじん切り野菜をたっぷり入れたハンバーグや、貧血の女性に鶏レバー入りのテリーヌを食べさせるようなものと思えば良いでしょう。

3食ともドーナツだったかどうかまでは解りませんが、治療のためならそうしたかも知れません。








原材料等は既に皆さんが書かれていますが、

ドーナツを食べたから脚気が治ったというよりも、脚気に効く

栄養をたっぷり含んだ素材でドーナツを作った、というほうが正しいと思います。

咲のお母さんがかりんとうを食べているシーンが映ったのを覚えているでしょうか?

あれで咲のお母さんは甘いものがすきだということがわかり、ならば

普通の食事ではなくドーナツにすることで、「脚気に効くと気づかせずに」

食べてもらうことができる、と思ったようです(実際、ドラマでそのように言ってました)







脚気は江戸病と言われていましたが、それはお江戸住まいでは拝み搗きのコメを喰い…といわれていたように、精米度の高い白米をたべていたためなんです。拝み搗きとは、杵を両手で振り上げてがっつり精米したもののことで、地方では玄米に近いものを食べていました。

なにが脚気を呼ぶかというとビタミンB6(だったと思う)不足です。玄米(米ぬか)にはB6がたくさんあったのに、それをとらないので、江戸の人、とくにいい暮らしの人に多かったのですね。

この話については石川英輔さんの小説を読まれるととても興味深いことがわかりますよ。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%9F%B3%E5%B7%9D%E8%8B%B1%E8%BC%94 大江戸神仙シリーズです。

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